変動金利は「いまの返済額」より「この先どうなるか」で決まります。知る → そなえる → 見直すの3ステップで試すと整理しやすくなります。気になる条件はパターンA〜Jに保存し、軸統一でスケールをそろえて見比べてください。
金利が上がった世界線で、返済がどこまで膨らみうるか=リスクの大きさを把握します。
上昇への打ち手(繰り上げ・固定化)を並べ、効果と「安心料」を見比べます。
借入額・期間・ボーナス・控除など、前提を1つずつ動かして影響を切り分けます。
住宅ローンは、個人が借りられるお金の中で最も低金利・最も長期・団信つきという、きわめて有利な借金です。余裕資金で繰り上げ返済をするのは、その有利な借金を自分から手放し、同時に流動性(いつでも使えるお金)と団信の保障まで縮める行為になります。だから、まとまったお金ができても繰り上げを急がず、生活防衛資金を確保したうえで残りは運用に回す——という考え方が近年支持されています。以下は助言ではなく考え方の整理で、運用にはリスクがあり、誰にでも当てはまる正解はありません。
これほど低い金利・長い期間で借りられる機会はほかにありません。完済を急ぐほど、その有利さを早く失います。
繰り上げた現金は家の含み資産に変わり、急な出費に使えません。いざ足りなくても低利で借り直すのは困難です。
団信は残高に対する生命保険。残高を減らすと、万一のとき帳消しになる保険の価値も小さくなります。
控除期間中は年末残高の0.7%が減税に。繰り上げで残高が減ると、受けられる控除も減ります。
繰り上げで手元の現金が減ると、急な出費に備えられなくなります。とくに次のような出費は、いつ来るか読めません。
家に変えた資金は引き出せず、足りなければカードローン等の高金利に頼ることに。「現金は王様(Cash is king)」が基本です。さらに団信は残高に対する保険なので、残高を減らすほど、万一のとき帳消しになる保障も小さくなります(共働き・ペアローンは影響が大きい)。
同じ資金を運用に回した場合の期待リターンを失います(機会損失)。低金利の局面では、長期・分散・積立の運用の期待リターンがローン金利を上回りやすく、複利は早く始めるほど効くので、繰り上げで運用開始を遅らせること自体がコストです。低金利では繰り上げで減る利息も小さく、銀行によっては繰り上げ手数料もかかります。
インフレ局面では、固定的な借金は実質的に目減りします。また変動金利でも(採用行なら)5年・125%ルールで当面の月額急増は抑えられるため、あわてず「本当に上がってから繰り上げる」選択肢を残せます。低利のローンを持ち続ければ、将来の借り換え余地も保てます。なお控除期間中の繰り上げは控除も減らすため、少なくとも控除期間が終わるまで待つ整理がよくされます。
| 観点 | 繰り上げ返済 | 運用 |
|---|---|---|
| リターン | △上限あり | ◎期待は高い(不確実) |
| 流動性 | ×失う(引き出せない) | ◎保てる(取り崩せる) |
| 確実性 | ◎確実 | △不確実 |
| 税 | △控除が一部減る | ○優遇制度あり |
| 団信 | ×保障が減る | ◎影響なし |
原則は「急がない」ですが、次の場合は繰り上げの合理性が増します。
結局は、運用か繰り上げか・流動性をどれだけ持つか・リスク許容度・団信や控除の価値・ライフプランの総合で決まります。本ツールで自分の金利を入れ、繰り上げで利息がどれだけ減るかを確かめ、同じ資金を残した場合と並べて考えてみてください。